3章 抗微生物薬の特徴 10 マクロライド系:クラリスロマイシン
実際、『クラリス』では相互作用による血中濃度の上昇が報告されている3)や4)、『テオドール(一般名:テオフィリン)』4)といった薬について、『ジスロマック』であればほとんど影響しないことが報告されています2,5)。
また、DOACを使っている患者においても、『ジスロマック』で治療を受けた人は『クラリス』で治療を受けた人より出血リスクが低かったという報告もあります6)。
3章 抗微生物薬の特徴 10 マクロライド系:クラリスロマイシン,アジスロマイシン ..
『クラリス』には、多くの薬の代謝・分解に関わる酵素「CYP3A4」の働きを阻害する作用があります1)。そのため一緒に使ってはいけない1)。
『ジスロマック』はこの代謝酵素「CYP3A4」にほとんど影響しないため、他の薬と相互作用を起こすリスクは低く「併用禁忌」の薬もありません2)。
1) クラリス錠 添付文書
2) ジスロマック錠 インタビューフォーム
CYPに関連した相互作用が少ない『ジスロマック』ですが、や『ネオーラル(一般名:シクロスポリン)』との併用では血中濃度の上昇が報告されています2,5)。いずれも『クラリス』より影響は小さいですが、厳密なコントロールが必要な薬のため注意が必要です。
ジスロマックの有効成分は「アジスロマイシン」という抗生物質です。 作用の仕方 ..
『ジスロマック』は白血球などの食細胞に取り込まれた後、感染部位に集まって長時間留まる性質があります。そのため錠剤であれば3日間、ドライシロップであれば1回服用するだけで、効果が7日間続きます2,7)。
治療期間中は1日2回で服用を続けなければならない『クラリス』よりも、服薬の手間は少なくて済みます。
※7日間の効果を得るための服用回数・期間
ジスロマックの錠剤・・・・・・・・1日1回を3日間
ジスロマックのドライシロップ・・・1回のみ
クラリス・・・・・・・・・・・・・1日2回を7日間
特に、エリスロマイシンとクラリスロマイシンは、このQT延長を起こし、徐脈を引き起こすことがあることが知られています[4]。なお、アジスロマイシンは比較的その作用が弱いとされています。
クラリスロマイシン(48) エリスロマイシンステアリン酸塩(2 ..
『クラリス』は、錠剤・粉薬どちらも『ジスロマック』より安価です。後発(ジェネリック)医薬品でも「クラリスロマイシン」の方が安く、経済的負担は少なく抑えることができます。
こともあります。こういった際には薬の値段も考慮が必要です。
タクロリムス(グラセプター®、プログラフ®)やシクロスポリン(ネオーラル®)は肝臓の薬物代謝酵素CYP3Aで代謝されますが、抗生物質のクラリスロマイシン(クラリス®、クラリシッド®)、エリスロマイシン(エリスロシン®)は、この代謝酵素を阻害する作用があります。そのため、タクロリムスやシクロスポリンを服用中の人がクラリスロマイシン、エリスロマイシンを服用すると、タクロリムスやシクロスポリンの血中濃度は急に高くなってしまい、免疫状態はとても不安定になります。
(肝臓の薬物代謝酵素については、をご覧下さい。)
「クラリス(クラリスロマイシン)」は、細菌の病気に使われる抗生物質です。
抗生物質の中には免疫抑制剤の血中濃度に影響を与えるものがあります。
免疫抑制剤と抗生物質の相互作用で特に注意が必要な組み合わせは、
免疫抑制剤では、タクロリムス(グラセプター®、プログラフ®)、シクロスポリン(ネオーラル®)と、
抗生物質では、クラリスロマイシン(クラリス®、クラリシッド®)、エリスロマイシン(エリスロシン®)です。
※薬価の比較 (2020年改訂時)
ジスロマック・・・600mg(621.90)、250mg錠(216.60)、成人用ドライシロップ(1981.00)、小児用細粒(233.10)
クラリス・・・・・200mg錠(60.70)、50mg(41.10)、小児用ドライシロップ(68.50)
クラリスロマイシンとジスロマックってどちらが強い抗生剤になるんですか?
『ジスロマック』は、相互作用が少なく、服用の手間も少ないです。
『クラリス』は、値段が安く、経済的負担が少ない薬です。
また、妊娠中の安全性評価でも『ジスロマック』の方がやや優れているため、患者の併用薬や妊娠などの状況によって使い分けることがあります。一方で、には『クラリス』しか保険適用がありません。
クラリスロマイシン (日医工), クラリスロマイシン錠200mg「日医工」, 19.2円/錠 ..
マクロライド系の抗菌薬はいずれも、胎児の重い先天性奇形のリスクには影響しないとされています8)。その中でも、妊娠中の安全性評価の1つである「」では、『ジスロマック』の方が『クラリス』よりも安全性は高く評価されています。
与群(1回 200 mg, 1日2回14日間投与)との比較試験
・腸内細菌への影響
ヒトの腸内には約3万種の腸内細菌が生息していると言われています。それらは悪玉菌、善玉菌、日和見菌に分類でき、バランスを取りながらある種の生態系を形成し、病気や老化から体を守っています。抗生物質の服用によりそのバランスがくずれたり、腸内フローラが死滅してしまったりすることで有害な作用を引き起こします。なかでも移植患者さんの場合は、長引く下痢には注意が必要です。思った以上の脱水が伴うことで、免疫抑制剤の血中濃度が不安定になったり、腎臓への負担を大きくしたりします。
アジスロマイシン600mg1日1回及びクラリスロマイシン500mg1日2回投与時の結果を次表に示す。 ..
※マクロライド系抗菌薬の「オーストラリア基準」
ジスロマック・・・【B1】
クラリス・・・・・【B3】
エリスロシン・・・【】
クラリスロマイシンの即放錠または懸濁液に対して,影響を及ぼさない
1980年代に誕生したこの薬剤は、従来のマクロライド系抗生物質とは一線を画す特性を持ち、現代の感染症治療において重要な役割を果たしています。
T100 radiometric broth法によりアジスロマイシン及びクラリスロマイシンのMIC値を測定した。
マクロライド系抗生物質、特にエリスロマイシンとクラリスロマイシンは、心臓の動きを電気的な信号で記録する心電図で観察できる、QT間隔という値を延長させることがあります。QT間隔とは、心臓が1回拍動する間の特定の時間を表す値です。
それともクラリスロマイシン? (medicina 54巻1号) | 医書.jp
最も高く評価されているのは『エリスロシン(一般名:エリスロマイシン)』ですが、『クラリス』と同様に相互作用を起こしやすい弱点があるため、併用薬の状況によっては『ジスロマック』が良い選択肢になります。
アジスロマイシン水和物(ジスロマック錠 600mg)は「後 ..
〈発症抑制〉
成人にはアジスロマイシンとして、1200mg(力価)を週1回経口投与する。〈治療〉
成人にはアジスロマイシンとして、600mg(力価)を1日1回経口投与する。(用法及び用量に関連する注意)
7.1.治療に関する海外臨床試験においてエタンブトールとの併用効果が示されているため、治療の際にはエタンブトール(1日15mg/kg)と併用すること。7.2.治療に際してはエタンブトールに加え、医師の判断によりMACに対する抗菌活性(invitro)を有する他の抗菌薬を併用することが望ましい。
7.3.本剤を使用する際には、投与期間、併用薬について国内外の学会のガイドライン等、最新の情報を参考にし、投与すること。
よりアジスロマイシン及びクラリスロマイシンのMIC値を測定した。
マクロライド系抗菌薬は、日本で非常によく使われている抗菌薬です。特に『クラリス』は小児科・耳鼻科での使用頻度も高いため、薬が効きかなくなる耐性化も進んでおり、大人になってからのにも挙げられています。
耐性菌が生まれないようにするには、抗菌薬を使わないことが一番ですが、それでは感染症の治療ができません。そのため、必要な時には正しく使い、ことが重要です。
[PDF] 小児肺炎マイコプラズマ肺炎の診断と治療に関する考え方
さて、マクロライド系抗生物質は、一部の患者さんで心臓の不整脈を引き起こす可能性があることが分かっていると、最初にお話しましたね。
抗生剤(抗菌剤)の適正使用 (後編) | みうら小児科クリニック
インターネット上では、『ジスロマック』を「耐性化の進んでいない抗菌薬」として販売しているWebサイトもたくさん見受けられます。しかし、必要があり、自己判断で選べるものではありません。特に、海外製の模造品では品質が保証されておらず、こともあり、非常に危険です。
また、こうした売買で手に入れた薬では、。不適切な使用をすれば耐性化が進み、いざという時に薬が効かなくなってしまいます。抗菌薬のネット通販は絶対に利用しないようにしてください。
[PDF] 【4】Q&A 腎機能に応じた抗菌薬の投与量について
どのようなメカニズムでこのようは相互作用が起こるのかについては、少し専門的な話になりますが、クラリスロマイシン(クラリス®、クラリシッド®)、エリスロマイシン(エリスロシン®)自身も肝臓の薬物代謝酵素CYP3Aで代謝されます。代謝されて一部化学構造が変化したクラリスロマイシン(クラリス®、クラリシッド®)、エリスロマイシン(エリスロシン®)は、CYP3Aのヘム鉄と複合体を作ることで、CYP3Aは酵素として働くことが出来なくなくなります。
クラリス錠 200mg クラリスロマイシン 1 日 400mg
微生物が産生し、細菌の増殖や機能を阻害する物質の総称です。ペニシリンは青カビから作られた世界で最初の抗生物質です。それに対して、人間によって化学的に合成された薬を抗菌薬と呼びます。どちらも細菌の感染を抑える点では同義語といえます。
抗生物質は、構造や特徴によってペニシリン系、セフェム系、マクロライド系、アミノグリコシド系、キノロン系などいくつかの系統に分類されます。治療の標的細菌により適切な抗生物質を選びます。
染後 2 次性細菌肺炎モデル)を用いて解明し、ヒトでもクラリスロマイシンの投与により
1. 『ジスロマック』は、相互作用のリスクが低く、服用が楽で、妊娠中の安全性評価も高い
2. 『クラリス』は、どの製剤も値段が安く、少量療法時にも経済的負担を抑えられる
3. マクロライド系抗菌薬は耐性化が進んでいるため、正しい使用を心掛ける必要がある