ブドウ糖非発酵菌を対象に抗緑膿菌活性をスペクトルに含む抗菌薬を投与 ..
こうしたML薬の耐性化進行の現状に鑑みると、ML薬が第一選択となる菌種や疾患は、呼吸器領域のマイコプラズマ・ニューモニエやクラミドフィラ・ニューモニエ、消化器領域でカンピロバクター、ヘリコバクター、性感染症のクラミジア感染症、非結核性抗酸菌症、ペニシリンアレルギーのある梅毒症例ということになります。この内、ヘリコバクターではアモキシシリン(AMPC)およびプロトンポンプ阻害薬との併用が、非結核性抗酸菌症のマイコバクテリウム・アビウム コンプレックス(MAC)感染症ではエタンブトール(EB)およびリファンピシン(RFP)などとの併用が主軸になります。マイコプラズマやクラミドフィラの場合でも、細菌性病原体との混合感染が想定されるときはML薬単独ではなく、β-ラクタム系薬などとの併用が行われます。
緑膿菌 / バイオフィルム感染症 / 抗菌薬抵抗性 / rpoS / rpoN / quorum ..
ML薬が種々の生理活性を示すことは以前からよく知られています。広義のML薬には、抗真菌薬や免疫抑制薬が存在しますが、狭義のML薬にも種々の生理作用があります。消化管運動ホルモンのモチリンに類似した消化管運動機能亢進作用と共に、免疫炎症細胞(好中球、リンパ球、マクロファージ、肥満細胞 等)を介する抗炎症作用がよく知られています。後者の端緒は、1980年代に始まったびまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis;DPB)の例に対するML薬の少量長期投与ですが、DPBの疾患概念は1969年に日本で確立しています。DPBは40~50歳代に多く発症し、呼吸細気管支に広範な炎症が起こって、持続性の咳、大量の痰、息切れ/呼吸困難を生じ、最終的には緑膿菌感染に移行して、5年生存率が50%前後だった指定難病です。通常の1/2~1/3の量のML薬を長期投与することによってこれらの症候は緩やかに軽減・改善し、現在の5年生存率は90%以上になっています。緑膿菌に無効なML薬であっても奏効するのはもちろんその抗菌作用によるものではありません。ML薬の持つ毒素産生抑制作用、エラスターゼ等の酵素産生抑制作用、細菌が産生するバイオフィルム産生の抑制作用、バイオフィルムの破壊作用、菌の細胞付着抑制作用によると考えられていますが、さらに最近では、細菌のQuorum-sensing機構(細菌が自己の存在密度を感知して病原性の発現を調節するメカニズム)を抑制する作用も知られるようになり、ML薬の多彩な生理活性には興味が尽きません。
第2世代キノロン系の薬剤です。
緑膿菌を含むグラム陰性桿菌への抗菌活性は強いですが、グラム陽性菌や嫌気性菌への抗菌活性は低いです。緑膿菌に対する活性はキノロン系でもっとも高いです。
[学会発表] クラリスロマイシンが及ぼす緑膿菌コロニー性状への影響2011
3つのフルオロキノロン系抗菌薬のスペクトラムの大まかなイメージと特徴は、表2と表3を参考にしてください。非常に広いスペクトラムを持った抗菌薬ですが、基本的には緑膿菌を含む グラム陰性桿菌に対する抗菌薬 であることをまず押さえてください。しかし、尿路感染症[12]や胆道系感染症[13]の原因として最も多いグラム陰性桿菌である 大腸菌の耐性化 が進んでおり、経験的治療における有用性はかなり限定的です。
ML薬耐性の機序は主に、ML薬の標的である23S rRNA のメチル化、排出蛋白質(efflux protein)によるML薬の排出、 ML薬分解酵素による不活化、ML薬修飾酵素による不活化、リボソームタンパク質の変異、などです。こうした機序によってML薬の耐性化は進行しており、21世紀に入ってからのわが国では市中肺炎の原因菌の8割以上が耐性を示しています。また、ML薬の種類によって抗菌スペクトラムには大きな差があり、使用に当たっては所属施設のアンチバイオグラムなどを参考にしつつ、副作用を勘案しながら使うことになります。
クラリスロマイシンによる緑膿菌c-di-GMPの誘導 村上圭史(徳島大学) · 2
広域スペクトラムの抗菌薬であること、唯一緑膿菌に効果のある経口抗菌薬 であることから、病院内・外来の感染症診療において重要な抗菌薬であり、これ以上の耐性化が進まないように大切に使用すべきです。また、後述しますが、副作用・薬物相互作用が比較的多いこと、抗結核作用があることからも、乱用は避けるべき抗菌薬です(表4)。筆者の考える第1選択となりうる状況を表5にまとめました。以下、グラム陰性桿菌、グラム陽性球菌、嫌気性菌、その他、に対するフルオロキノロン系抗菌薬の効果と適応を説明していきます。
緑膿菌などの好気性グラム陰性桿菌によるFNや重症感染症、黄色ブドウ球菌・腸球菌による感染性心内膜炎を対象として、おもに併用療法で使用する薬剤です。
副作用では、腎毒性(トラフ濃度を測定して投与量を調整します)や聴神経毒性(不可逆性)が問題になります。
「緑膿菌」 生命活動ほとんど停止状態で多くの抗菌薬効かず | NHK
フルオロキノロン系抗菌薬は、前述したようにグラム陰性桿菌用の抗菌薬であり、腸内細菌科細菌や緑膿菌などのグラム陰性桿菌(gram negative rods; GNR)を広くカバーしますが、実際にはあまり第1選択となる状況はありません。ここではその理由と、「使いどき」について説明します。
カルバペネム系のイミペネム・シラスタチン(IPM/CS)に、新規βラクタマーゼ阻害薬(REL)を配合した薬剤です。
ほかのカルバペネム系が耐性の緑膿菌に対する治療薬として期待されています。
緑膿菌における菌体密度感知機構、特にlasおよび/またはrhl菌体密度 ..
緑膿菌を含むグラム陰性桿菌を広くカバーする薬剤です。
βラクタム系薬剤ですが、ペニシリン系/セフェム系アレルギーがあっても使える薬剤です(例外:CAZとは側鎖が同じなので避けるべきです)。
・呼吸器感染症の患者を多く診察するため、緑膿菌を含めて幅広い菌種に効果 ..
大腸菌のフルオロキノロン耐性率が高いこと、副作用・薬物相互作用など(後述)の欠点があるため、入院症例においてβラクタム系抗菌薬が使用できる状況であれば、そちらを優先して使用します。そのため、フルオロキノロン系抗菌薬を、入院が必要となる市中感染症や院内感染症の初期治療として選択することはほとんどありません。
ラ属,インフルエンザ菌,緑膿菌等による呼吸器感染症に対する有効率
最初に要点を3つ提示します。1. 覚えるべきフルオロキノロン系抗菌薬は3つだけ。
2. フルオロキノロン系抗菌薬が第1選択となる臨床状況はほとんどない。
3. フルオロキノロン系抗菌薬を使用する場合は「副作用」「薬物相互作用」「抗結核作用」に注意する。
・乳酸菌よりビフィズス菌より優れている(緑膿菌など)と説明を受けた。
入院患者において、あえてフルオロキノロンを選択する状況は、重度のβラクタムアレルギーがある場合です。この状況でのGNRカバーは、感染臓器が何であれ(尿路感染症、腹腔内感染症、カテーテル関連血流感染症)、原則シプロフロキサシンを選択します。代替薬としてはアズトレオナムとアミノグリコシド系抗菌薬が挙げられるので、院内アンチバイオグラムや感染臓器を考慮して使い分けます。例えば、尿路感染症以外で、アミノグリコシド単剤を選択することはありません[20]。状態が安定し経口摂取が可能であれば、bioavailabilityが良い薬剤のため、内服薬に変更することが可能です。
[PDF] 3)緑膿菌バイオフィルム制御機構におよぼすマクロライド剤の効果
CTLZ(CAZに類似した薬剤)にβラクタマーゼ阻害薬(TAZ)を配合した薬剤です。
緑膿菌やESBL産生菌のカバーをしたいが、カルバペネム系を避けたい場合に使用を検討する薬剤です。腹腔内感染症に使用する場合は、MNZを併用します。
ジスロマイシンの緑膿菌への作用を DNA マイクロアレイを用いて詳細に検討 ..
1つ目は、レジオネラ肺炎の治療です。これは唯一第1選択としてフルオロキノロン系抗菌薬を選択できる状況だと思われます。軽症でない限り点滴静注薬で治療を開始するため、点滴静注製剤のあるレボフロキサシンまたはシプロフロキサシが選択肢となります。市中肺炎の治療を行う場合、肺炎球菌もカバーできる抗菌薬を選択するため、レボフロキサシンを使用することが多いと思います[21,22]。効果を比較したランダム化比較試験はありませんが、アジスロマイシンは同等の効果が期待できると考えられており、こちらも第1選択薬として使用可能です[23]。
イミペネム、パニペネム、メロペネムなどのカルバペネム系薬は、緑膿菌にも強い抗菌活性を示すため、現在、臨床現場で賞用されている。
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)や耐性傾向のインフルエンザ桿菌(BLNAR)にもスペクトラムがある薬剤です。
これらの菌を標的としたCOPDの急性増悪、中耳炎・副鼻腔炎などが適応になります。ただし、腸管吸収率はきわめて低く(10-25%)、頻用されることによる第3世代セフェム系注射薬の耐性化が問題となるため、症例を選んで使用するべき薬剤です。
[PDF] 慢性下気道感染症に対するマクロライド療法の有効性と今後の課題
2つ目は、緑膿菌または耐性傾向の強い腸内細菌科細菌による重症感染症における経験的治療です。院内アンチバイオグラムやその患者の耐性菌検出歴を参考に、βラクタム系抗菌薬と、シプロフロキサシンまたはアミノグリコシド系抗菌薬の併用が検討されます。例えば、院内肺炎・人工呼吸器肺炎、shockを呈する発熱性好中球減少症[6,24]が該当します。
クラリスロマイシン(CAM)、15員環系のアジスロマイシン(AZM)など ..
薬剤耐性対策の一つの柱として抗微生物薬の適正使用の推進が挙げられており、これは抗菌薬適正使用を推進することによって不必要な抗菌薬使用を減らし、耐性菌の減少を目指すものです。フルオロキノロン系抗菌薬はその標的の一つとなっており、2020年までに(2013年と比較して)使用量を50%減らすことが目標値として設定されました。また、大腸菌のフルオロキノロン耐性率を25%以下にすることも数値目標として設定されています。実際には、なかなか達成は難しいのでしょう。しかし、2013年から2018年にかけて経口フルオロキノロン系抗菌薬の販売量が17.1%減少しており[8]、適正使用への意識は高まり、良い方向に進んでいっているようです。
【ミニレビュー】フルオロキノロン系抗菌薬 KANSEN JOURNAL
MRSA感染症の第一選択薬です。ほとんどのグラム陽性菌に活性を持ちますが、βラクタム系に感受性があればそちらのほうが効果は高いです。感染症(CDI)に対しては内服薬を使用します。
血中濃度を測定して投与量を調節する必要がある薬剤です。
[PDF] 抗菌薬のエスカレーション療法とデ・エスカレーション療法
緑膿菌を含むグラム陰性桿菌に対してのみ抗菌活性があり、グラム陽性菌には無効です。SPACEの菌を選択的に狙いたいときに使用することが多い薬剤です。
[PDF] マクロライド薬長期投与患者から分離された の病原因子に関する検討
3つ目は、ST合剤が使用できない状況におけるStenotrophomonas maltophilia感染症の治療です。一般的に、フルオロキノロン系抗菌薬の感受性はST合剤より劣ると考えられていますが、これまでの報告によるとレボフロキサシンは70%以上で感受性が良好です[25,26]。また、観察研究ではST合剤と同等の効果が示されており、第2選択薬の一つと考えられています[27,28]。シプロフロキサシンは感受性率が低いため、レボフロキサシンを優先して使用します[26,29]。代替薬としてはミノサイクリンがあります[30]。施設によって薬剤感受性パターンは異なると思うので、自施設のアンチバイオグラムを参考に、第2選択薬(レボフロキサシンまたはミノサイクリン)を選択してください。
クラリスロマイシン),15 員環(アジスロマイシン)など ..
1952年に実用化された最初のML薬である14員環系のエリスロマイシン(EM)は今も使われていますが、抗菌活性や消化管吸収性がやや低く、それを改善したものとして1960年代に16員環系薬が相次いで開発されました。さらに、EMの胃酸に対する不安定性や組織移行性の低さ、抗菌活性や抗菌スペクトラムが狭いなどの弱点を克服したのが1990年代以降のニューマクロライドと称されるML薬であって、14員環系のクラリスロマイシン(CAM)、15員環系のアジスロマイシン(AZM)などがあり、今日のML薬の主流となっています。