問題 アスピリン喘息の発作誘発リスクを高めるステロイド製剤は?
急性(即時性)副作用発生の危険性が高いと考えられる患者さんにやむを得ず造影剤を使用する際には、危険性軽減のためにステロイド前投薬が長く推奨されてきました。しかし、欧州泌尿生殖器放射線学会(ESUR)の最新のガイドライン(ver. 10.0[2018])では、有効性に関するエビデンスが乏しいという理由で削除されています。米国放射線医会(ACR)の最新のガイドライン(ver. 2021)では、エビデンスが不足しているとしながらも、多くの専門家がその有効性を信じているとの理由から、前投与を考慮してもよいとしており、これらガイドラインの内容が異なる状況となっています。
○気管支喘息、喘息性気管支炎(小児喘息性気管支炎を含む)、薬剤その他の化学 ..
ヨード/ガドリニウム造影剤の投与により、急性(即時性)副作用を生ずることがあります。その症状は、軽度の蕁麻疹や悪心から、心肺停止に至るものまでさまざまです。その発生機序は不明な点が多く、また発生を確実に予知・予防する方法は存在し ませんが、危険因子は知られており、欧州泌尿生殖器放射線学会(ESUR)のガイドラインでは、1)造影剤に対する中等度もしくは重度の急性(即時性)副作用の既往、2)薬物治療が必要な気管支喘息、3)薬物治療が必要なアトピー、とされています(1)。しかし、これらが存在しても直ちに造影剤の使用が禁忌となるわけではなく、リスク・ベネフィットを事例毎に勘案して投与の可否を判断する必要があります。
しかし、この方法はこれまで広く実施されており、これを直ちに実施すべきではないとすることは現場に混乱をもたらし、患者さんにも無用な不安を与える可能性があります。したがって、これからも担当医の判断でステロイド前投薬を実施することを妨げるものではありません。米国放射線医会(ACR)のガイドラインでは、エビデンスが不足しているとしながらも、多くの専門家がその有効性を信じているとの理由から、ステロイド(および抗ヒスタミン薬)の前投薬を考慮してもよいとしています(2)。
初回投与時や、アスピリン喘息の有無が不明の場合は1時間程度かけて点滴投与する。 成人気管支
以下のステロイド製剤のうち、アスピリン喘息の際に急速静注で用いると喘息発作・増悪を起こすリスクが高いものはどれか。
本学会では、2017年06月29日に「ヨード造影剤ならびにガドリニウム造影剤の急性副作用発症の危険性低減を目的としたステロイド前投薬に関する提言」を発表し、2018年11月15日にこれを改訂しています。
以前はアスピリン喘息といわれていました。医師側でも確認するのですが、もし過去 ..
ステロイド前投薬を実施する場合には、緊急時を除き造影剤投与直前ではなく、充分前に行う必要があります。ステロイドの抗アレルギー作用を充分に発揮させるためには、理想的には造影検査実施の6 時間以上前に投与することが望ましく、特に造 影検査の直前にステロイドを静注する手法は好ましくないとされています。参考としてACR のガイドラインに基づくプロトコールを示します(処方例は、ガイドラインを一部変更したものです)(2)。
*繰り返しになりますが、以下の処方例はACR のガイドラインに基づくものであり、日本医学放射線学会が積極的に推奨するものではありません。
ただし,アスピリン喘息の場合,あるいはアスピリン喘息が疑われる場合は,コハク酸エステル型であるメチル
注意:ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンなどのコハク酸エステル型ステロイドを静注で用いると、喘息発作を誘発することがある(特にアスピリン喘息の患者)ので勧められません。経口ステロイドにはこのような危険性は少ないとされています(7)。
中に入れる薬液の成分は自宅で使う吸入薬と同じ系列ですが、ネブライザーの吸入は分程度かけてミスト状のお薬を吸入します。プッシュ式の携帯用よりも確実に、気道全体へβ刺激薬を浸透させることができます。
アスピリン喘息の場合はデキサメタゾン(デカドロン)かベタメタゾン(リ
ただ、③や④は長期間作用型ステロイドのため、じっくりと長く効かせるための治療です。喘息発作のときは速やかに症状を改善させる必要がありますので、多くの場合、①や②を選択します。
[PDF] 2015年12月 非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作(アスピリン喘息)
注意が必要なのは、アスピリン喘息の方です。①や②のお薬にはコハク酸エステル化されたステロイドが使用されており、それはアスピリン喘息の症状を悪化させる恐れがあるからです。
一般にアスピリン喘息と呼ばれますが、アスピリンの他にほとんど全てのNSAIDs で過敏反応が誘発されるこ
そのためアスピリン喘息の方には、リン酸エステル化されたステロイド使用の薬液を選択します。
[PDF] トシリズマブが奏功したアスピリン喘息と 型糖尿病を合併した COVID
発作が起こった場合にはとても大事な薬です。狭くなった気管支を拡張させ、即効性があるために症状はすぐに緩和します。短時間作用性の吸入抗コリン薬(SAMA)を追加することでさらなる拡張効果が得られる場合もありますが、通常はSABAのみで十分です。またネブライザーによる吸入も適しており、当院でもネブライザーで吸入していただいています。即効性があり有効性も強いのですが、「気管支喘息の治療(長期管理)」で記載の通りSABA単独で頻回に吸っていると、発作時に吸入の効果が乏しく、呼吸状態を改善できないことがあります。くれぐれも自宅で治療している際は、医師の指示に従っていただき、SABAのみを頻回に使用することのないようにご注意ください。
喘息患者(特にアスピリン喘息の既往がある患者)への投与可否に注意が必要
アスピリン喘息は、発作時に症状から判断することができません。すでにアスピリン喘息とわかっている人は、治療前に必ずそのことを伝えましょう。
本剤は、デキサメタゾンを有効成分とする副腎皮質ホルモン製剤である。 ..
また、同じくガイドラインで示されているアドレナリン皮下注射は、アナフィラキシーショックなど重篤なアレルギーで使用するお薬です。喘息もアレルギー疾患のため適応がありますが、かなり強いお薬なので重症例に限定してしか使われません。
ド薬の大量投与を必要とする喘息症例の中にアスピリン喘息、Churg-Strauss 症候群(ア.
デンタルダイヤモンド社のベストセラー書籍『歯科におけるくすりの使い方2023-2026』のColumnの一つを特別公開!
「アスピリン喘息患者への鎮痛薬の投与」についてです。
(第1部)いまさら聞けないくすりのギモンQ&A アスピリン喘息では
アスピリン喘息は、シクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)阻害作用をもつ薬物によって生じる非アレルギー性の疾患である。その本態は、COX-1阻害作用によって、アラキドン酸からロイコトリエン類が過剰に産生され、このシスティニルロイコトリエンがメディエーターとして気管支平滑筋を収縮させることである。したがって、その名のとおりアスピリンはもちろんのこと、COX-1阻害作用のある酸性非ステロイド性抗炎症薬(酸性NSAIDs)の投与でも生じることから、誤解を招きやすいアスピリン喘息という名称は、NSAIDs-exacerbated respiratory disease(N-ERD)に置き換わりつつある。
このようなN-ERDの既往をもつ患者に対する消炎鎮痛薬は、慎重に選択する必要がある。塩基性NSAIDsであるチアラミド塩酸塩(ソランタール®)やセレコキシブ、アセトアミノフェンなどはCOX-1阻害作用が弱い、もしくはほとんどないため候補薬となるが、いずれもその添付文書には禁忌として「アスピリン喘息(非ステロイド性消炎・鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者(重症喘息発作を誘発するおそれがある)」が挙げられている。それでは、歯科処置後の疼痛には、どのように対応すべきなのだろうか?
厚生労働省が取りまとめている重篤副作用疾患別対応マニュアル(令和4年2月改訂)にある非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作(アスピリン喘息、解熱鎮痛薬喘息、アスピリン不耐喘息、NSAIDs過敏喘息)の章では、アセトアミノフェンとセレコキシブの投与について実際的な対応策が挙げられている。
アセトアミノフェンは従来では安全とされてきたが、米国におけるN-ERD患者への負荷試験で、1,000~1,500㎎/回で34%に呼吸機能が低下したとする報告がある1)。現在、欧米では500㎎/回が推奨されており、日本人には300㎎/回とすべきとされている。
セレコキシブはCOX-2選択的阻害薬であるため、倍量投与でもN-ERDで喘息発作が起きないことが確認されている2)。また、タスクフォースメンバーからも安全であると提言されている2,3)。なお、重症不安定な患者において喘息を誘発したとする報告もある。 以上のことから、処方に関しては主治医の責任となることを前提に、投与前の十分な説明は当然のこととして、内服させてから2時間程度は観察期間を設けるなど慎重を期す必要がある。また、喘息発作時には、たとえば次のような対応が求められ、重症化に備えて専門の医療機関に搬送する準備も必要である4)。
1.酸素投与(2L/min以上)
2.患者が携行している頓用薬(β2刺激薬)の使用
3.アドレナリン(0.2㎎×複数回)筋注または皮下注
4. リン酸エステル型ステロイドとアミノフィリンの点滴静注(例:デキサメタゾン〔デカドロン®注射液〕
1.65㎎×複数回+アミノフィリン〔アミノフィリン静注〕250㎎×複数回)
5.皮膚症状があれば、抗ロイコトリエン薬・プロスタグランジンE1製剤などを考慮
(第1部)いまさら聞けないくすりのギモンQ&A アスピリン喘息では、どんな人に注意が必要
効果なく症状持続し中発作症状を呈する場合や、症状悪化がある場合には経口ステロイド薬(プレドニゾロン15~30mg相当)を内服の上で救急外来を受診する(お近くの救急外来を受診下さい)。
デキサメタゾンエリキシル0.01%「日新」の効果・効能・副作用
1) Settipane RA, et al.: Prevalence of cross-sensitivity with acetaminophen in aspirin-sensitiveasthmatic subjects. J Allergy Clin Immuno, 96:480-485, 1995.
2) Szczeklik A, et al.: Aspirin-induced asthma: advances in pathogenesis, diagnosis, and management. J Allergy Clin Immunol, 111(5): 913-921, 2003.
3) Kowalski ML, et al.: Diagnosis and management of NSAID-Exacerbated Respiratory Disease(N-ERD)-a EAACI position paper. Allergy, 74(1): 28-39, 2019.
4) 谷口正実:喘息の亜型・特殊型・併存症――アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息).日内会誌,102(6):1426-1432,2013.
デキサメタゾンエリキシル (デキサメタゾン) 日新 [処方薬]の解説、注意
発作時の治療では、激しい炎症や症状をとりあえず落ちつけただけの状態で、気道の炎症は続いています。とくに重い発作の後には強い炎症が残りますので、炎症への効果が高い経口ステロイドを投与します。
アスピリン喘息と非アスピリン喘息のFEV1 annual declineの比較検討
記事、写真、表、イラスト、グラフ、動画、音声など、デンタルダイヤモンド社の発行物および各サイトで提供されるあらゆる形のコンテンツの著作権は、デンタルダイヤモンド社または、執筆者など正当な権利を持つ第三者に帰属しています。著作権法で、許諾無く利用できることが認められている場合を除き、コンテンツの一部または全部を無断で複製、公衆送信、翻案するといった利用はできません。
NSAIDs使用後の急激な喘息発作と鼻症状の悪化は、本症を強く疑う。 アスピリン喘息は喘息 ..
また、喘息の治療は、激しい発作をおこさないように日ごろから長期管理薬を使った継続治療の方がメインです。発作がおきると患者さん自身が非常に苦しいのはもちろんのこと、発作によって気道の壁が硬く厚くなり、さらに喘息発作がおきやすい状態になる悪循環をおこすからです。